特許 毛髪のセット保持力を高める毛髪改質組成物

学習記録

水素結合に関する特許を読んでみました。

公開番号:WO2009/090937 A1 (出願人:セレーン株式会社)

この特許において、毛髪のセット保持力とは、パーマによるものではなく、毛髪自体の形状維持力のことを指す。洗髪後に容易にもとに戻すことができる程度の保持力のことで、更には、洗髪後にスタイリングをしてもその形状を維持できる、としている。具体的には、本発明の毛髪改質剤はアセチルシステインと、セリシン加水分解物を特定量含む組成物である。還元剤であるアセチルシステインによって、ポリペプチド鎖間のジスルフィド結合を切断し、毛髪を膨潤させた後、セリシン加水分解物であるセリン、スレオニンなどのアミノ酸を浸透させる。セリンやスレオニンは、親水性のヒドロキシ基を豊富に持つため、ポリペプチド鎖間の水素結合を強固にすることができる。

毛髪自体のセット保持力とは、毛髪内部のケラチン分子(ポリペプチド鎖)間の水素結合を強固にすることによって高められる。

毛髪内部とは、具体的にどこのことなのか?

毛髪の構造を調べると、キューティクルがあり、その内側はコルテックスと呼ばれる繊維と細胞膜があり、更にコルテックスの中に、マクロフィブリルがあり、マクロフィブリルの中に、ミクロフィブリルがある。フィブリルとは、ケラチン繊維が2本絡みロープ状になったもので、ミクロ内部にロープ2本(ケラチン繊維としては4本)、マクロ内にフィブリル8本詰まっている。

ケラチンの構造は、ポリペプチド鎖が右巻らせん状になって2本が絡みあう形をしている。このポリペプチド鎖間には通常、水素結合だけでなく、イオン結合、塩結合、シスチン結合が存在する。

通常の水素結合と、毛髪改質剤を使うことによる水素結合とどう違うのか?

これは、ケラチンというたんぱく質がどのような構造になっているか知る必要があると感じた。

ケラチンを構成するアミノ酸は下記のようになっている。

ケラチンの全体構造を探していたが、ケラチンには様々な種類があり、これというものは探しきれなかった。

この構成要素を見ると、圧倒的にシスチンが多く、シスチンによってジスルフィド結合という強固な共有結合ができている。

ケラチンは、αヘリックス型のたんぱく質であることから、αヘリックス型の構造から水素結合やジスルフィド結合を想像してみた。

αヘリックス構造 水素結合

ケラチンを構成するアミノ酸には他にセリン、グルタミン酸、プロリンが多く含まれ、親水性の官能基を有する。

L-セリン            グルタミン酸        プロリン

この毛髪改質組成物では、まずケラチン繊維のジスルフィド結合を切断し、毛髪を膨潤させた後、セリシン加水分解物を毛髪の内部に浸透させる。

その状態で15分~30分ほど放置する。毛髪改質組成物が十分に浸透したら、洗髪し自然乾燥するか、もしくは毛髪に酸化剤を塗布しジスルフィド結合を再形成させる。

セリシンは、蚕が絹の生産の際につくるタンパク質で、主にセリシンとフィブロインという2つのタンパク質でできている。これを酸またはアルカリ、酵素で加水分解したアミノ酸がセリンやスレオニン(トレオニン)などである。よく見ると、ケラチンを構成しているアミノ酸と同一であり、特徴は親水性の官能基OHを豊富にもつことである。毛髪に浸透させるということは、ケラチン繊維のアミノ酸構成比を操作して、より多くの水素結合を形成させることで水素結合を強固にするのだ、と解釈した。

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